
やさしく解説
遺体から発生する「死臭」は、とても独特で強烈な臭いを持っています。
その正体は、体が分解される過程で出るガスや成分です。
代表的なのは「プトレシン」や「カダベリン」という物質で、わずかな量でも人間には強烈に感じられます。
さらに、硫黄の仲間(卵が腐ったような臭いを出す硫化水素など)や脂肪酸、アルデヒドといった化学物質も混ざり合い、強い悪臭となります。
この臭いが厄介なのは、空気中に漂うだけでなく、体液や血液が床や壁に染み込み、そこから臭いが発生し続ける点です。
木材やコンクリートには目に見えない小さな穴(細孔)があり、そこに臭いの成分が入り込むと、表面を掃除しただけでは取り除けません。
たとえ換気や消臭スプレーを使っても、建材に染み付いた臭い分子は少しずつ空気中に放出され続けるのです。
さらに、腐敗の過程では細菌の働きによって新しい臭い成分が次々に生まれます。
そのため、放置すればするほど臭いは強くなり、長期間消えなくなります。
つまり死臭は「空気中の臭い」ではなく「部屋そのものが臭いの発生源」になってしまうのです。
完全に取り除くためには、特殊な薬剤での洗浄・殺菌、オゾン脱臭機による処理、場合によっては床や壁の解体が必要となります。
科学的な説明
遺体の腐敗に伴って発生する「死臭」は、主に揮発性有機化合物(VOC)と呼ばれる分子の集合体です。
代表的なものにはプトレシン(putrescine)、カダベリン(cadaverine)などのアミン類、硫化水素やメチルメルカプタンといった硫黄化合物、さらには脂肪酸やアルデヒド類などが含まれます。
これらの化合物は非常に強い刺激臭を持ち、人間の嗅覚は微量でも強烈に感じ取ります。
また、腐敗が進むと体液や血液が床材や壁材に浸透し、臭気成分が木材やコンクリートの微細な孔(細孔)に吸着されます。
一度染み込んだ揮発性分子は、空気中に長期間にわたり放出され続けるため、表面的な清掃や市販の消臭剤では根本的に取り除けません。
さらに、微生物による分解過程で新たな悪臭成分が生成され続けることも、臭いが消えない大きな要因です。
このように死臭は、単なる空気中の「臭い」ではなく、建材内部に浸透した分子レベルの汚染と、腐敗過程での持続的な発生源が原因となっています。
そのため、完全な消臭には特殊清掃による徹底的な洗浄・殺菌・オゾン処理、さらには必要に応じた建材の解体や交換といった高度な対応が不可欠です。

